生まれた日

「夢を見たんだ」 隣を歩く頼城が唐突に言った。 雪が周りの音を吸収して静かな夜、電灯の下、濃い影を作った頼城が足元の雪を鳴らす。「どんな夢だ?」「巡が生まれる夢だ」 分娩室の前で、巡が生まれるのを今か今かと待っている夢だ…