2022年1月29日 斎樹巡、マフラー
「巡くんはいつもあたたかそうな格好をしているね」 学校の帰り道、柊が俺の顔を覗き込んでそう言った。そう、だろうか。「寒いという問題があるのに対策を取らない道理はないと思うが」 改めて自分の服装を眺める。コート、手袋、マフ…
「巡くんはいつもあたたかそうな格好をしているね」 学校の帰り道、柊が俺の顔を覗き込んでそう言った。そう、だろうか。「寒いという問題があるのに対策を取らない道理はないと思うが」 改めて自分の服装を眺める。コート、手袋、マフ…
頼城が海外へ行っている時、たまに手紙が届くことがある。チャットアプリでいくらでも話せるというのに、手書きで、国際郵便で、わざわざ異国の地から手紙を出してくる。今回は俺と柊、ふたり宛に手紙が届いていたらしい。 寮母さんか…
※ラ・クロワ四人婚です(NPCのNくん含む) ハロウィンの喧騒が終わった日の夜。自室にこもって仕事をしていると、コンコンとドアがノックされた。「頼城、俺だ」「巡か、入っていいぞ」 カチャリとドアが開いて巡が入ってきた…
※モブが出ます 今日は特に訓練の予定もない。イーターの出現予報もない。学校から帰り、簡単な宿題をし、夕飯までの間自室でぼんやりとしていた。 窓の外を眺める。秋口だから広葉樹が徐々に黄色や赤に葉を染めている。今日は天気が…
※ラクロワ4人婚です 「ただいま! かえったぞ!」「お邪魔致します」 玄関が騒がしくなったかと思うと紫暮と藤本さんが家に帰ってきた。なんか声の様子が変だ。巡くんと顔を見合わせて玄関まで迎えに行くと、顔を真っ赤にした紫暮を…
夜、窓をあけて眠るのが好きだ。 すこし前までは蒸し暑い風が部屋をみたして寝苦しかったけれど、今は夏の終わりの涼しい風がふき込んでくる。風からは熱せられた石や土、草や花の香りが消えて、つめたい露の香りがするようになる。 …
頼城紫暮という人間は、星のようなやつだった。 沢山の書籍と論文に囲まれて実験に明け暮れていた幼少期の俺に、何度も何度も一方的に会いに来ては土産を渡してきたのが頼城だった。 俺の両親の知人に頼城の親がいて、歳が近い息子が…
斎樹くんってあんまり物欲とかなさそうだよなぁ、と思っていた。勝手に。なんていうか必要なものだけをきれいに整えて使っていそうで。それもなんか僕のよく知らないメーカーのきれいでスッキリしたデザインのなにかをそろえて、清潔で…
2021年5月16日に行われたWEHウェブオンリー「エンディング・パーティ」にて発行した柊巡再録に書き下ろしとして入れていた短編です。 無人島から無事に脱出できて本当によかった。無人島、いいところだったけどシャワーも石…
春になると巡くんが楽しげにいちごを差し出すようになる。水であらって、へたを取って、ガラスのうつわに盛って、練乳をかけて。そうしてフォークでひとつ刺したものを俺に向ける。 春になると巡くんは冷蔵庫の中にいちごを切らさない…